ムーティが語るM・ジャクソン

2009年6月27日Corriere della Sera
«Come Farinelli e altri interpreti del barocco: vittima di eccessi»

「1980年代にフィラデルフィア管音楽監督だった頃、テレビで彼の歌をしばしば観ました。彼のことはそうやって知りました。マイケル・ジャクソンは、音楽の歴史において、あらゆる時代を通じて、最も伝説的で、論議をまきおこした(そして愛されもした)歌手のひとりです。」語ったのはリッカルド・ムーティである。PaisielloのMissa Defunctorumは、ザルツブルクで成功を収めた後、ケルビーニ管と明日ラベンナ音楽祭で、そして、月曜日にはフィレンツェで演奏されるが、そのリハーサルの合間のことであった。「長い導入部と4つのレスポンソリウムから成り立っていて、これはPaisielloの時代には未発表だった版です。」

マエストロ、マイケル・ジャクソンについてどう思いましたか。
「彼の論議をまきおこした人生、その弱さ、非常に不安定なところ、そして、最後には消耗しつくしてしまったところは、バロック時代の偉大なカストラート達の人生を想わせます。Caffarelli やFarinelliといった人達で、崇拝の対象であり、はてしない偶像視の対象でした。こういった崇拝の犠牲でした。」

白人でもなく黒人でもなく、その声も男性でもなく女性でもなかった…
「そのとおりです。カストラートのことを話したのです。」

こういう両義性、境界すれすれなところは、若者達に多大な影響を持ちました。そして、遊園地のような現実離れした生活があり…
「道徳上の評価に踏み込むつもりはありません。確かに、彼がしていたことすべてが、こういう悲劇で終わることに彼を導いたものの、典型的な特徴を示していました。」

彼の音楽面については?
「彼のようなアフリカ系アメリカ人は、私達の時代の音楽の発展に対して、根本的な点で貢献してきました。音楽は、アフリカ系アメリカ人に対する高い評価において、重要な領域を成していました。それは、USAの社会においても、彼らの評価を高めることに貢献していたのです。」

社会的解放?
「ジャクソンはLouis ArmstrongやElla Fitzgerald、Charlie Parkerのように、こういった社会的解放におけるまさに象徴でした。彼は高潔な芸術家でもありました。”We are the world”のことを思っています。これは、東アフリカの飢餓に対して慈善基金を集める役割を担いました。彼とともに、1980年代のポピュラー音楽の最高の表現芸術が、この世を去ったのです。」

失礼をお許しいただきたいのですが、マイケル・ジャクソンの歌で踊ったことはありますか。
「いいえ。踊りのほうはありません。」

このように早すぎる終わりからは、どんな教えが引き出されるのでしょうか。
「どんなことをしてでも美と若さを追求することについて、私達に再考を促すことを教えてくれます。彼の人生は、成功が必ずしも幸福の源であるとは限らないということを、証明しています。」